キャンパーの疑問を徹底解説していこうと思います。
僕自身、キャンプを始める前から『河川敷は自由に使っていい』と何処からか聞いていたんですが、本当に使っていいのかどうかがハッキリせずモヤモヤしていました。
そこで、国土交通省が公表している河川敷利用についての資料やHPを徹底的に読み込んだので、その見解をまとめていこうと思います。
河川敷キャンプに興味がある方の参考になれば幸いです!
原則として【自由使用】であるが…
河川は公共のものなので原則として『自由使用』です。
ココで言う『自由使用』とは
- 河川管理者の許可または届け出が不要
- いつでも自由に使用できる
というものです。
しかし、当然ながら『何でも好き勝手やって良いわけではない』んです。
国土交通省が定める条件の範囲内で自由に使用して良いという意味なので、ココを勘違いしてはいけません。
まず河川敷って?
この話を進める前に、まず『河川敷』とは何処を指すのか正確に理解しておきましょう。
河川敷とは上図が示すとおり、常時水が流れている『低水路』と『高水敷』を合わせた区域になります。
まさに僕が長良川でキャンプした時に設営した場所が『河川敷』になります。
河川管理者って誰なの?
ネットでよく河川敷の利用について『河川管理者』に届出や許可を貰いましょう。とありますが、河川管理者とは一体誰のことでしょうか?
一応、河川にはちゃんと河川管理者が決まっています。
例えば一級河川の場合は直轄管理区間だと国土交通大臣、指定区間だと都道府県知事が務めています。
しかし、一級河川でも河川敷内の公園や運動場については地元の市区町村になっている場合があるので、その場合は条例やルールを順守する必要があります。
ちなみに、川の種別(一級とか二級とか)が分からない場合は河川名でググるとwikipedia等に載っているので調べてみましょう。
『直轄管理』とか『指定区間』って何?
一級河川の場合は『直轄管理』とか『指定区間』といって区域によって管理者が変わります。
要するに区域によっては問い合わせ先が変わってしまうわけですが、この区分けは一般人にとって馴染みがなく非常に難解です。
大きな河川であればググれば分かる場合もありますが、上図のように役場や工事関係者にしか分からないような資料が出てきます。
ただ、『自由使用』についておさらいすると
- 河川管理者の許可または届出不要
- いつでも自由に利用できる
ことなので、河川管理者は許可・届出が必要なった時点で知っていれば良いわけです。
国土交通省の『自由使用』フローが役立つ
国土交通省の河川管理事務所のHPを色々見ていると『河川敷地の一時的な占有等について』という判断フローがあり、河川敷を使うにあたり大変役に立ちます。
このフローを使えば『河川敷で自分が何をするのか?』を当てはめていけば許可が要るのか要らないのかの判断が出来ます。
ちょっと分かり難い言葉で書かれていたりするので、ココからは各語句について解説していきます。
治水・利水・管理とは?
治水…『大雨が降った時などに、川の水が溢れたりしないように水量を調整したりすること』
利水…『田んぼや畑などに水を送り届けたり、生活するための水を用意すること』
河川管理…『川の治水・利水・環境整備の計画をたてたり、工事や維持管理を行うこと。
治水・利水上の支障をきたす行為を考えると…
これはキャンプやBBQ云々のレベルではなく、川の流れを変えたり、堰き止めたり、汚染させる行為が当て嵌まりそうです。
また、河川敷で工事をしていて『関係者以外立ち入り禁止』であれば立ち入るのはNGでしょう。また、河川には管理用通路があるので、そこに路駐したり設営するのはダメでしょう。
公序良俗に反する行為
これはよく考えると分かりますが、『マナーと法令・条例』の問題です。
具体的には
騒音…近所迷惑、爆音で騒ぐ
不法投棄…ゴミや燃えカスを放置して帰る
安全…河川法で認められた区域以外での直火(区域内でも下草などに引火する恐れがある場合は控える)
公害…河川を汚染する
法令…密漁、航空法(ドローン等)、その他非合法なこと
直火については非常に微妙な問題ですが、区域内でも下草などに引火する恐れがある場合は控えて欲しいとの見解のようです。
また河川法に限らず犯罪に関わる、取締規定に反する、賭博、人権的に問題がある、などなど日本の法律と常識的に考えて『ダメでしょ』という行為を目的として使用するのはNGです。
キャンプは『使用』か『占用』か?
国土交通省の資料によれば個人的(個人、友人、家族)な小規模キャンプであれば『使用』となり、大規模なイベントで区画を仕切ったり特定のメンバーしか河川敷に入れないような行為(排他的な利用)は『占用』となり許可や届出が必要となります。
キャンプテントは工作物か?
国土交通省の資料では、河川敷に工作物を設置する場合は許可と届出が必要となります。
『工作物』と言われるとキャンプテントが当て嵌まりそうな気がしますが、ここで言う工作物とは『建物以外の土地に接着させた人工物(門、兵、電柱、溝渠)』らしいのですが曖昧な表現で非常に分かり難いです。
そこで、資料をさらに読み込んでいくと許可・申請が必要な工作物かどうかを判断する時に
- 『簡易的な施設』⇒○
- 『設置・撤去に時間を要さない』⇒○
- 『治水上の影響がない』⇒○
- 『一時的な使用目的ならOK』⇒○
とされているのでキャンプテントは問題なさそうです。
ただ、気になる記載があり、『無人の状態で1日以上設置する』場合は届出を出してほしいとのことでした。
これは河川の放水・増水時に無人だと速やかな撤去ができないためで、テントを1日以上無人にして離れなければ支障は無いと言えそうです。
基本的に『自由使用』だが安全には気を付けよう
と言うことで、河川敷の利用についてはルールの範囲内であれば『自由使用』ということでした。
ただし、河川敷は法令やルールを守る他に自分自身の安全を守らなければいけません。
毎年河川では多くの水難事故が起こっているので、利用する前は水位のライブ情報や上流ダムの放水情報、地元漁協の近況情報などで情報収集してから利用するようにしましょう。
【参考資料】
①国土交通省北陸地方整備局 黒部河川事務所 『河川の利用にはルールがあります(pdf)』参照 https://www.hrr.mlit.go.jp/kurobe/sogo/k_riyou/index.html
②国土交通省北陸地方整備局 信濃川河川事務所 『一時使用と一時占用(pdf)』参照
http://www.hrr.mlit.go.jp/shinano/office/kyoka.html
③国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所 河川・河川敷の利用
https://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage00258.html
④河川敷地の一時的な占用等に関する考え方について(pdf)
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2014/pdf06/16.pdf
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